現在地と目的地を比較しながら方向を決めて歩く。


だって道じゃない所を歩いてるわけだから、たとえナビがまっすぐに行けと指示をしても目の前の足場が悪かったら回り道しなきゃいけないもんね。



ここまで来るのに車でずいぶん走ったし、更に歩いてもずいぶんかかった。


それを今度は全部歩いて帰るんだ。


もう、1日がかりで帰る覚悟はしなきゃ…。








そうして、いつまでたっても木しか見えない道を歩いて歩いて…

30分くらい経った頃。



視線の向こう側で、人影を見た気がした。



「…こんな山奥に…?」



一体誰がこんな寂しい所に来るっていうんだろう。


怖い人かな…
変な人かも…


だんだんとこっちの方に向かって歩いているようなので、私は隠れるようにその場から離れた。



そして距離を取って、その人物の様子を見てみた。