「はう…、今日もかっこいい…」

ため息混じりに吐く、なんともベタなセリフ。

その視線の先には、同じクラスの斎藤君。

好きな人って、どんな時でもかっこよく見えるよね。


「そのセリフきも…、本気でひくわ…」

その隣で毒を吐く、親友の早苗。


私は、斎藤君に片想い中の中3、野々村楓。

何をとっても平均的で、普通に片想いして普通に学校生活送ってる。


斎藤君は、真面目で頭が良く、しかも元バスケ部のエースで、生徒からも先生からも信頼を寄せている。

「完璧だよね…」

感無量。涙腺危うい。

「うちには、よく分からないな…」


私が斎藤君に片想いしていることは、早苗しか知らない。
こっそり、想いを寄せている。
それで、卒業式の日に告白して学ランのボタンをもらう、という考え。

なかなかロマンチックだと思う、我ながら。


「本当好きだあ!!」

「うるさいよ!」