近くで見た桜は、立派に立っていて見とれてしまうほど。


あぁ、あたしもこんなに逞しく立てれたらいいのに。



―――ザワザワ―――


風が強く吹き、桜が揺れた。


それとともに、桜が散ってきた。


「きれー」


今日この言葉を何回言っただろうか。


桜は雪のようにひらひらと散っている。


ふと気付くと木を背もたれにしている男の人が寝ている。


いつからいたのかな?


顔はよく見えないが、髪の毛は茶色。風でサラサラと揺れている髪。


あたしはその男の人の横へ行き静かに座った。


すやすやと寝ていて、あたしは少し起きないように髪の毛を触った。



「柔らかい髪の毛だね」



そう聞いても返事は返ってこない。


その代わり、ピクッ!っと動いた。


男の人は段々顔を上げてこちらを見た。



「あ、起こしちゃったかな?」


「・・・」


「ご、ごめんね」


「あぁ」