ぐいっ

奈月の体が宙に浮いた。

いや、奈緒が襟元を掴んで奈月を持ち上げたのだ。

「お、お前!!放せ!!」

奈月は子供のように手足をじたばたさせている。

見た目が小さいだけに特に違和感がないのが辛い。

「さ、店長に謝りにいこっか」

「ち、ちょっと待て!!このまま!?」

「じゃないと奈月、謝りにいかないでしょ」

「ぐ…」

痛いところをつかれてしまった。

奈月は全く抗うことをしなくなった。

「……はい」

「よし。私も一緒に謝ってあげるから」

奈緒はぽんと奈月の頭をたたくと、そのまま奈月を受け付けにいる頭を抱えた店長に出頭させた。

「ん、どうしたの??」

店長は絶望に浸りすぎて全く辺りの光景が目に飛び込んできていなかったようだ。