そして……

バァン!!

扉が勢いよく開かれた。

奈月は思わず体をびくっと震わせる。

その様子をおじさん達は奈月を心配そうな目で見ている。

奈月は決して怒っている時の奈緒の目を見ない。

見ればまるでメデューサに見られ、石化してしまうような、そんな感覚に陥ってしまうからである。

ようするに、奈月は今、奈緒にずっと背を向けているのである。

「……奈月」

奈緒の声に怒りがこもっているのは明白である。

「な、なんだよ……」

奈月も負けじと少し強気に反抗する。

おそらく、おじさん達の目には狼と羊にしか見えていないだろう。

「奈月」

奈緒の声色が変わった。

落ち着いたというよりもどこか冷酷さを帯びている。

辺りに響く金属バットにボールが当たる音。

少しの間沈黙が続いた。

いつしかおじさん達の目が見守るような目に変わっていた。

そして……