一方、奈月は奈緒とは対照的に背が女の子のように小さい。

性格はまるでそのきりっとした目が形成してしまっているように、人見知りが激しく、いわゆるツンデレのツンだけといった感じだ。

奈月は中学生の時まで野球をしていた。

だが、バッティングはまるで駄目。

才能以前の問題かもしれない。

だが、そんな奈月にも人には譲れない部分がある。

そう、奈月が一番輝く瞬間である。

「奈月ー??一回ぐらい当てれた??」

奈緒がふと思い出して奈月のいるバッターボックスを覗き込む。

その時、奈緒は咄嗟に奈月の様子がおかしいことに気がついた。

それは体に変化があったわけではない。

そう、悪意をたくらんでいるということに。

目線の先にはホームランゾーン。

手にはバットではなく、ボール。

「ち、ちょっと奈月!?」

奈緒はおじさん達の間をかいくぐって奈月を止めにいこうと必死にドアを開けようとする。

しかし、バットが挟まれて開かなくなっている。

「奈月!!あけなさい!!」

「やだね」

奈月は顔だけ奈緒に向けてあっかんべーをした。