……どうしてなんだろう。
いつ頃からだったろう。
私、神経が高ぶると、必ずカミナリを呼んでしまうのよね。
全く、雨女、っていうのはよく聞くけど、カミナリ女なんて。
おかげで、入学式・卒業式・体育祭・文化祭・合唱コンクール、etc……気合いを入れて頑張った催しものの全てに、カミナリがついて回った。
でも、私もだんだん感情をコントロールすることを覚えて、最近ではずっと、家にカミナリが落ちるほどのことはなかったのに。
「一人暮らしなんて絶対許しません! 半年もたたないうちに泣きついてくるハメになるに決まってるわ!」
「やってみなくちゃわからないじゃないの!」
「いいえわかります! 何かあったら結局親が責任取ることになるんだから、そんな勝手なことさせられますか!」
「……勝手? 勝手なのはどっちよ!……私は邪魔者でしょ! 邪魔者のほうから消えてあげるって言ってんのよ、素直に喜んだらどうなの? 私さえいなくなれば、あの男と好きなだけ会えるじゃない!」
「……何言ってるの? お前は何にもわかってないのよ!」
「ええ、わかってないわよ! わかりたくもないわ! 母さんのバカッッ!!」
……これは……家にカミナリが落ちる前に、母さんとしてたケンカ。
母さんとケンカなんて……両親が離婚して以来、初めてだった。
……母さん、二人っきりになったとき、私は心に誓ったの。
ずっと、母さんを守っていこうって……。
なのに母さんには、私なんて別に必要なかったんだね。
……母さんが会ってるあの男に妻子がいる。
そのことよりも、そんな男に支えてもらわなければならないほど、私が側にいることは母さんにとって、何の役にも立っていない……
それがショックだった。
……もういいよ。
だから私、消えてなくなってあげるよ。
だって誰も困らないもの。
私がこの世界からいなくなったって、誰も……。