重なった唇が離れるまでの間……それは永遠とも思われた。


私は身動きできず、息もできなかった。

頭がぼうっとして、何が何だかわからない。

体全体が心臓になってしまったよう……

耳元で、自分の鼓動が激しく音を立てて脈打っていた。



 気がつくと再び間近でラジールの黒い瞳が、心配そうに私を見つめていた。

「……すみません、つい……大丈夫ですか?」

息が上がってしまった私を、気遣ってくれる優しい声。

幸福の絶頂感に打ちのめされ、私はクタクタと彼の胸に倒れかかってしまった。

 彼はしばらくじっと、私を支え抱きしめていてくれた。

そしてようやく私の息が整った頃、そっと私の手を取って言った。

「さぁ、行きましょう……」