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堕天使は相変わらず、街の上を時々飛んで、偵察していた。



ただ、玲子の神社のお札で作った結界に居るか、スポットに入れば見つかることはない。



洋魔達も日向達の日本の神を本格的に攻撃するまでにはなっていないようだ。



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玲子は堕天使が飛んでいるのを見つけた。



虫霊を出すと、堕天使に気づかれないように放した。



九尾との試練で虫霊に意志を持たせて動かせるようになったので、霊糸が要らなくなっただけ、断然、気づかれなくなった。



虫霊が戻って来るのを待った。
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一日して虫霊が戻って来た。



三人は虫霊に付いて行ってみることにした。



虫霊は空中を飛びながら彼らを案内していった。



街から外れ、緑の多くなる田舎で虫霊が空中に消え去った。


「虫霊はどこだ?」



日向が云う隣で玲子が目を瞑って額に指を当てていた。



「ここから、異空間に入ったようだわ。

月島君、バトルフィールドを開いてくれない」
日向は月島を止めた。



「ここでバトルフィールドを展開したら敵に気づかれないか?」



玲子もそれに同意した。



月島が笑いながら言った。



「心配ないよ。

九尾との試練で、大きさはいくらでも変えられるようになったんだ」



月島は50センチ位の穴を空中に開けた。
一番先に月島が入った。


日向と玲子がそれに続いた。



虫霊が先の方で待っていた。



薄暗い空間を虫霊の後を追いかけた。
虫霊の進んでいる先に薄明かりの丸い出口が見えてきた。



虫霊は穴の先に行った。



三人は穴の出口に潜んで、先を見た。



出口の先は広場になっていて堕天使達が休息していた。



日向が呟いた。



「堕天使ってこんなにいるのか?」



月島が言った。



「ああ。

やつらは、人に憑くこともできるけど、人に指示されるのが嫌いだから憑くことはないみたいだ。

堕天使の長に命令されて動いている」



堕天使達が一斉に騒ぎ出した。



堕天使の長が入って来た。



「静まれ!

いよいよ、人間界を支配するぞ。

サタン様が日本の自衛隊の幹部に取り憑いた。

戦争になれば、われわれの望み通りの世界になる。

お前達も弱い人間に取り憑いて侵攻するんだ」



堕天使達はお互いに顔を見合わせた。



「何をしている!

早く行け!

心に隙のある奴に取り憑いてくるんだ」


堕天使の長は命令口調で叫んだ。



堕天使達はめいめい、飛び立って行った。



日向達は物陰に隠れて、現実界に出て行く堕天使達を見送った。
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三人は堕天使達がたむろっていた広場に降り立った。



広場からは、どこかに続くいくつもの穴が開いていた。



日向は言った。



「月島君、どの穴がどこに繋がるかか分からないのか?」



月島が答えた。



「ここはアリの巣のようになっていて、リリスの部屋とか、人質の部屋とかがあると思うけど、どれがどうなっているかは、迷路で分からないな」