玲子が答えた。



「あのゲームは、日本の神々と外国の悪魔の闘いなの。

ゲームには神社関係者しか参加できないはずなんだけど。

パスワードがあったでしょ」



「いいや」



「おかしいわね?

家は神社関係者なのかしら」



「遠い親戚にはいたみたいけど」



「とにかく、スサノオが憑いてしまったから、いまさらどうしようも無いわね」



「これからどうなるんだ?」



「リリスと言う悪魔と闘うことになるわ。

奴らは日本の神を追い出して、支配しようとしているのよ。

最後には日本人みんなに悪魔を取り憑かせて帝国を造るのが目的なのよ」
玲子が力強く言った。



「早く仲間を見つけて奴らの野望を打ち砕くのよ」



「どうやって、見つけるんだ?」



「簡単よ。

憑き神に憑かれた人は憑き神が見えるのよ。

そんな人を探せばいいわ」



「一体、何人ぐらい憑き神がいるんだ?
八万の神だから、沢山いるんだろう」



「いいえ。

憑き神に憑かれた人は、リリスに片っ端からやられているから」



「じゃあ、そのうちリリスが襲って来るのか?」



「そう、だから、早く仲間が必要なの」
玲子は付け加えた。



「もう一つは、憑き神を使いこなすこと。

憑き神を使いこなせば、リリスに対抗できるはずなの。

それができないからやられてしまっているのよ」



「それはゲームと関係してないのか。

アイテムを探せば何とかなるんじゃない」



「じゃあ。

携帯でゲームを出してみて」



日向は携帯を取り出して、ダウンロードしたゲームを出した。



「どう!?

ゲームは見つかった?」



「うん。

アイテムを探してみる」



日向はゲームを色々いじってみた。



「どう。

地図が出てくるだけでしょう。

あなたと私が地図に表示されてよね。

表示範囲は3キロまで拡大できるから、その中に憑き神が入れば、画面上に出るから仲間を集めに使えるわ。

でも、自分の憑き神のレベルアップは自分でやるのよ」
日向は尋ねた。



「どっちが大変なんだ」



「憑き神のレベルアップが先ね。

ダダでさえ携帯で見つけられるから、憑き神を小さくしてなるべく敵に見つかり難くして。

見てて」



玲子は虫霊達を体内に入れていった。



玲子は普通の人と同じようになった。



「日向君もやってみて、憑き神を意識で体内に入れるのよ」
日向はスサノオが小さく成るように意識した。



スサノオは前よりも少し小さくなった。


「なかなかいいわね。

それが出来るようになったら、憑き神を実体化するの。

見てて」



玲子が虫霊を集めて、紐のようにして木の枝に巻きつけるとその紐を使い体を浮かせて見せた。



「私の虫霊はこんな使い方しかできないけど、スサノオは最強の神だから、もっと凄いと思うの。

頑張ってね」



日向がベッドで携帯を見ていた。



玲子から、ゲームの参加者が近づけば画面上に現れるから時々、チェックしておくように言われていた。



ゲームの地図には自分が居た。



玲子のキャラも映っていた。



自分のキャラを見ると攻撃力が少し上がっていた。



スサノオを小さくなるように出来たからのようだ。
日向が天井を向いて妹が部屋に入ってきた。



気にせずに携帯をいじっていると、黒い影が天井をすり抜けて入ってきた。



西洋の悪魔の絵にあるような姿をしていた。



あっという間に、悪魔は妹を掴んだ。



悪魔が実体化したのだ。



そのまま、窓を破って外に飛び出した。



「待てーっ」



日向は悪魔を追って外に飛び出した。



悪魔はコウモリのような羽を広げて飛んでいる。



日向は追いかけてもなかなか追いつけなかった。



悪魔の後ろに黒い固まりが飛んできた。



横路から玲子が現れた。



「日向君。

無事だったのね」



日向は悪魔を指差した。



「玲子さん。

妹があいつにさらわれた」



「分かったわ。

虫霊で追いかけてみる」



二人が追いかけて行くと、日向と同じくらいの少年が行く手を立ちはだかった。