日向はすっかり固まってしまった。



「けっこう、あっけなかったな」



若者が固まった日向に近づいて、手でコンコンと叩いた。



日向の固まった像から、霊気の槍が出てきた。



若者はすんでのところでかわした。



「危ない危ない。

刺されるところだった。

まだ、死んでいないんだな。

えっ!?」



霊気の槍が途中から折れ曲がって、若者を突いた。
若者はその攻撃も避けた。



「しぶといねぇ。

これならどうかな」



若者は手を広げて、その手を握る動きをした。



日向の像がミシミシと縮んでいく音がした。



日向の槍が若者を突いた。



「最後のあがきか!?」



若者は避けた。



その時、若者が避けた足元から霊糸の糸が現れ、若者を繭のように縛りあげた。



「しまった」



日向がその霊糸の糸に一気に霊力を送った。
若者は悲鳴を上げて倒れた。



像を破って日向が現れた。



肩で息をしながら、大の字に倒れた。



「約束通り、仲間を助けに行くからな」



どこからともなく声だけが聞こえてきた。



「その必要はない。
さっき他の二人が終わった。

お前が最後だ」



空間の床や壁が動き出した。



日向は九尾の口から吐き出された。



玲子と月島のそばに落とされた。



三人は顔を見合わせた。



九尾が言った。



「後はお前たちに任せたぞ」



九尾はだんだん縮んでいった。



最後に子供位の大きさの石像になった。
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九尾の試練が終わって三人は街に戻った。



玲子の神社をアジトにして、三人は作戦を練った。



玲子の虫霊で、堕天使の動きを探ることにした。



後は一気に敵の本部を攻撃する手筈にした。
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堕天使は相変わらず、街の上を時々飛んで、偵察していた。



ただ、玲子の神社のお札で作った結界に居るか、スポットに入れば見つかることはない。



洋魔達も日向達の日本の神を本格的に攻撃するまでにはなっていないようだ。



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玲子は堕天使が飛んでいるのを見つけた。



虫霊を出すと、堕天使に気づかれないように放した。



九尾との試練で虫霊に意志を持たせて動かせるようになったので、霊糸が要らなくなっただけ、断然、気づかれなくなった。



虫霊が戻って来るのを待った。
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一日して虫霊が戻って来た。



三人は虫霊に付いて行ってみることにした。



虫霊は空中を飛びながら彼らを案内していった。



街から外れ、緑の多くなる田舎で虫霊が空中に消え去った。


「虫霊はどこだ?」



日向が云う隣で玲子が目を瞑って額に指を当てていた。



「ここから、異空間に入ったようだわ。

月島君、バトルフィールドを開いてくれない」
日向は月島を止めた。



「ここでバトルフィールドを展開したら敵に気づかれないか?」



玲子もそれに同意した。



月島が笑いながら言った。



「心配ないよ。

九尾との試練で、大きさはいくらでも変えられるようになったんだ」



月島は50センチ位の穴を空中に開けた。