「じゃあ、どうすればいいんだ」
「とにかく、今日から神社の道場で修行するしかないわ。
私がビシビシしごいてあげるから」
玲子はマジな声で言った。
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道場
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日向は学校が終わると、玲子の神社の隣にある道場に行った。
道場に入ると、玲子に柔道着に似た修行着を渡された。
「後は、おじいちゃんに教わってね」
玲子の背後から小男のじいさんが現れた。
「玲子、この子がお前の彼氏なのか?
ひ弱そうな奴だな。
鍛え甲斐がありそうだな。
いくぞ小僧」
じいさんが日向に組み付いて来た。
玲子が日向に後はよろしくというようにウインクした。
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日向は放課後に道場に通った。
道場では玲子のじいさんと夢幻流柔術の稽古をしていた。
玲子の話しでは、夢幻流は霊力コントロールに有効ということだった。
毎日、稽古の最後に玲子の虫霊と対決するのだが、
最初は虫霊に縛られてしまっていたが、だんだん縛られていても動けるようになってきた。
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妹が連れていかれてから、十日が過ぎようとしていた。
日向は早く妹を助けたいと思っていたが、手がかりが見つからなかった。
堕天使がときどき上空を通って行くので捕まえて、問いただそうとも考えてみたが、玲子に止められていた。
自分の力が付くにつれてその思いが強くなってきた。
練習が終わり家で携帯の画面を見ていると、堕天使が近づいてくるのが写った。
『試してみるか』
日向は家を出ると、スサノオを出して、堕天使に向かわせた。
実体化していないのでスサノオは空中を飛んで、堕天使の前に立ちはだかった。
堕天使が止まって、スサノオと対峙した。
堕天使を操っている本体を探すのに、堕天使から霊糸が出ていないかを見てみた。
『霊糸が無いな。
どうやって操っているんだ?』
日向がそんなことを考えていると、堕天使がスサノオに組み付いて来た。
『実体化していないから大丈夫だ』
日向がたかをくくっていると、堕天使はスサノオを掴んで地面に投げつけた。
スサノオが地面に落とされ砂ぼこりが上がった。
『実体化していなくても、攻撃できるのか!?』
スサノオが落ちたあたりにいた人々は突然の風に驚いていた。
日向はスサノオを立ち上がらせて、堕天使に飛びついた。
パンチやキックを堕天使に繰り出した。
堕天使はパンチやキックをガードしていたが、スサノオの回し蹴りで地面に叩きつけられて、動かなくなった。
日向は上空からスサノオを足から堕天使に落とした。
堕天使は地面で砕け散った。
砕け散った堕天使の破片は近くにいた四、五人の人々の体内に入った。
人々の目つきが変わって、日向に向かって来た。
日向は襲ってくる人々から逃げた。
『どういうことだ?』
日向はなんとか取り憑かれた人々を振り切った。
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日向は逃げているうちに鹿島神社に向かっていた。
途中で玲子の車に会った。
玲子は日向に言った。
「日向君。
早く乗って、堕天使の群れが来ている。
早くこの街から出るのよ」
車を運転していたのは、玲子の祖父だ。