クモ男は玲子の手元に気をつけながら一歩ずつ近づいてきた。
玲子が右手を前に出した。袖口から虫霊が湧いてきた。
クモ男は玲子の右手に向けて地面に落ちていた糸をへばりつけた。
玲子の右手は粘着性の糸の塊で覆われた。
さらに、クモ男は玲子の左手も糸でぐるぐるにしてしまった。
クモ男は勝ち誇ったように、
「これで、虫霊は使えまい」
と言った。
クモ男は口から糸を吐いて玲子の体にくっつけてきた。
玲子の体は糸にだんだん覆われてきた。
クモ男は口から糸を吐いていた。
突然、クモ男が糸を吐かなくなった。
「あれっ?」
クモ男が首を傾げた。
もう一度、口から糸を吐き出そうとしたが出て来なかった。
玲子が虫霊を使って、まとわりついていた糸を断ち切って手足を動かせるようになった。
クモ男がオロオロしていると、玲子は虫霊をムチ状にして攻撃した。
クモ男はムチに足をとられて転んだ。
玲子は思いきりムチを振って、クモ男の首にムチを巻き付けた。
ムチはだんだん締まっていった。
クモ男はムチを力任せに切った。
クモ男はハアハアと息を荒げた。
「糸が吐ければこんな奴」
玲子は言った。
「まだ分からないの?
あなたはもう糸を吐けないわ」
「どういうことだ」
「糸を吐く穴が、虫霊で塞がれているのよ」
「なんだと」
「それに、もうすぐ動けなくなるわ」
「バカなことを言うな」
クモ男は手足を動かして見せた。
だが、だんだん動かせなくなっていった。
クモ男の動きが止まり銅像のように動かなくなった。
玲子が言った。
「虫霊を甘く見たわね。
中枢神経を破壊したら動けなくなるわ」
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堕天使の長はクモ男とダストの戦いを見ていた。
二人ともやられてしまったのを見て、これ以上の戦いは不利だと思った。
堕天使の長は日向の隙をみて、洞窟の道の一つに逃げ込んだ。
日向はその後ろ姿を見送った。
日向は玲子に支えられて立っている月島に駆け寄った。
三人は樹にとらわれていた月島の母や人々を助け出した。
その後、月島が現世との通路を開き現世に帰った。
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現世ではサタンが幕僚長に取り憑いていた。
悪魔が見れる日向や玲子、月島はテレビに映し出された幕僚長の後ろに彼が居るのが見えていた。
幕僚長の発言はサタンのものであることが見えていた。
テレビで幕僚長は戒厳令を宣言していた。
サタンは軍を動かし首都を制圧していた。
テレビを見ながら、玲子が
「サタンを倒して、正気に戻さないと大変なことになるわよ」
「やるしかないな」
日向が言うと、月島も頷いた。
玲子の飛ばしていた虫霊が戻って来た。
虫霊からの情報から日向の妹の居場所が分かった。
日向の妹の葵はリリスに取り憑かれているので、サタンがそこにいる確率は高い。
リリスは幕僚長の屋敷に居ることが分かった。
三人は夜になってから行動する事にした。