堕天使の長が言った。



「これで、リリス様が復活する」



樹の上にある実がだんだん大きくなってきた。



堕天使の長が嬉しそうに言った。



「もうすぐ、リリス様が出てくるぞ」



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月島は穴に落ちながら、スサノオの檻を探した。



スサノオは檻が弱くなった所から脱出していた。



月島はスサノオの体から出ている日向とつながるための霊糸の先端部分に張ってあるお札を剥がした。



「スサノオ。

これで日向とつながって戦ってくれ」



月島はスサノオの霊糸の先端を持って、上の方に投げた。



投げ終わると月島は沈んでいった。
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日向は月島の反撃がかわされて、スサノオが穴に投げ込まれるのを見ていた。



日向は自分の霊糸を伸ばして、スサノオとつながろうとした。



霊糸を限界まで伸ばした。



霊糸の先に虫霊がくっついてきた。



虫霊は小さかったが何匹もつながって伸びていった。



その先には玲子の手につながっていた。



玲子が上に上がろとして、虫霊を伸ばしていたのに、日向の霊糸の先に掴まったのだ。
玲子は虫霊が捕まえたのが、日向の霊糸だとわかった。



玲子は日向の霊糸の先を手でつかんだ。



『日向君。

上げて』


と念じた。



日向は霊糸の先が重くなったのに気が付いた。



次に玲子の思いが伝わってきた。



霊糸を巻き取ろうとしたが、玲子から少し待つようにいってきた。



待っていると、スサノオとつながっていた感覚が蘇った。



玲子がスサノオの霊糸とつなげてくれたのだった。
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樹になっている実がだんだん膨らんで、割れた。



中から、リリスが出てきた。



リリスは日向の妹の体を乗っ取っていた。



樹の下にいた堕天使達がリリスの誕生に気勢をあげた。



堕天使の長が言った。



「リリス様。

サタン様が現世で待っておられます。

サタン様は日本の総理大臣に乗り移ることに成功しました。

リリス様も早く現世においでください」



リリスは堕天使に先導されて、現世に続く穴に入って行った。
堕天使達が去った後に樹は立っていた。



堕天使の長と何人かの部下が残っていた。



樹の幹に埋め込まれていた日向が動いた。



日向と一緒にスサノオが樹の幹を割って出てきた。



樹に閉じ込められていた人々が次々に樹の破片から出てきた。



玲子と月島も無事に現れた。
堕天使の長と部下は日向達を見ていた。



「遅かったな。

リリス様は復活されてしまったぞ。

お前らはワシ等が始末してやる」



堕天使の長が言った。



月島が言った。



「日向。

あの堕天使は俺がやる」



そう言って、見張られた堕天使を指差した。



「私はあのクモ男をやるわ」



玲子が言った。



月島が指名した堕天使が笑いながら、



「俺の通称はダストだ。名の通り粉塵の力を持っているんだ。

お前ごときにかなうはずはない」



月島がドラゴンで堕天使に飛び交った。



ドラゴンの爪がダストの体に刺さったかに見えたが、その部分が砂のようになった。



「そんな攻撃、効かないな」



ダストがニヤリとした。
月島が言った。



「そうか、体を砂のように変えられるのか」



「分かったか。

それを知ったからといって何ができるかな」



月島はドラゴンの背に乗って空中から攻撃しようとした。



「ドラゴンよ、無駄だぜ」



ダストはドラゴンに拳を向けた。



腕全体が砂のようになり、拳がドラゴンに当たった。