現世の出口には、檻があった。
スサノオは檻の中に入ってしまった。
月島は再度、バトルフィールドを開いて、檻をバトルフィールドに戻した。
檻に入ったスサノオに、月島は霊気の槍を突き立てて串刺しにして手足の自由を奪った。
『なんとかなったな』
見張りの堕天使がドラゴンに言った。
「いつの間にか、現世に檻を作っておいてそこにスサノオを落としたのか。
小賢しい手を使いやがったな」
見張りの堕天使が部下の堕天使達に檻を樹に持って行くように命令した。
堕天使達は4人で檻の角を持って、樹のある道に運んで行った。
見張りの堕天使が月島に言った。
「スサノオを捕まえた位でいい気になるなよ。
俺は先に行くからな」
見張りの堕天使は霊気を使い回復をさせている月島を気遣うことなく、檻の後を追った。
月島も息をハアハアさせながらその後に続いた。
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樹の前には堕天使達の長と部下達が集まっていた。
そこにスサノオが入った檻が運ばれて来た。
見張りの堕天使が長に無事捕らえたことを報告した。
月島が堕天使の長に
「母を返してくれ」
と言った。
堕天使の長は薄ら笑いをした。
「ドラゴンよ。
分かっている。
今、母の元に返してやる」
というと、先程の糸を口から吐く堕天使が月島を攻撃した。
月島は糸をかわしたが、ドラゴンの方が見張りの堕天使に足を掴まれていて、糸がドラゴンに絡みついた。
月島は無事だったがドラゴンは繭に閉じ込められてしまった。
月島が怒った。
「騙したな!」
月島はスサノオの檻の上に飛び乗った。
「この檻は俺の霊気で作ったんだせ。
どうにでもできるんだ。
もし、この檻を開けたらどうなるかな」
堕天使の長が言った。
「俺を脅すつもりか?
やってみたらいい」
月島が日向に向かって言った。
「おい、日向、スサノオが出たらちゃんとあやつれよ!」
月島は印を結んだ。
檻がだんだん溶けてきた。
だが、溶けてゆく檻の棒の中から別の棒が出てきた。
月島の顔色が変わった。
見張りの堕天使が言った。
「ドラゴン。
どうしたんだ。
檻はお前の霊気で作ったんだろう」
月島は堕天使を睨んだ。
堕天使は続けて言った。
「霊気で檻を作れるのは、お前だけじゃないんだせ。
お前の考えが浅はかだったな」
月島はスサノオに打ち込んでいた楔を解いた。
「楔の方はどうかな。
こっちは霊気じゃないんだせ」
檻の中でスサノオは自由に動いた。
スサノオが檻に手をかけて、こじ開けようとした。
檻の格子がだんだん広がってきた。
堕天使の長が手を挙げて振り下ろした。
「やれ!」
スサノオは檻ごと樹の根元に落とされた。
月島は檻から降りたが、穴の縁だったので、堕天使に突き落とされた。
繭になったドラゴンも穴に落とされた。
堕天使の長が言った。
「これで、リリス様が復活する」
樹の上にある実がだんだん大きくなってきた。
堕天使の長が嬉しそうに言った。
「もうすぐ、リリス様が出てくるぞ」
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月島は穴に落ちながら、スサノオの檻を探した。
スサノオは檻が弱くなった所から脱出していた。
月島はスサノオの体から出ている日向とつながるための霊糸の先端部分に張ってあるお札を剥がした。
「スサノオ。
これで日向とつながって戦ってくれ」
月島はスサノオの霊糸の先端を持って、上の方に投げた。
投げ終わると月島は沈んでいった。
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日向は月島の反撃がかわされて、スサノオが穴に投げ込まれるのを見ていた。
日向は自分の霊糸を伸ばして、スサノオとつながろうとした。
霊糸を限界まで伸ばした。
霊糸の先に虫霊がくっついてきた。
虫霊は小さかったが何匹もつながって伸びていった。
その先には玲子の手につながっていた。
玲子が上に上がろとして、虫霊を伸ばしていたのに、日向の霊糸の先に掴まったのだ。