「はぁ」
シオンは9月の花だからな・・・
5月に咲くはずがない



「どうしましたか?」


「別に・・・」


無言の車内でただ外を見つめる

通り過ぎる懐かしい風景


「あっ」


私が生まれ変わった場所



バックミラーから驚いたような顔をした後そっと微笑んだ

「この公園に思い出がありますか?」



「・・・はい__」


『須藤優っていうんだ』
くしゃっと笑う笑顔がすきだった
茶髪が風で揺れて・・・

『一緒に住むか!?』
ちょっと強引で

『ありがと』
『ごめんな』
『おはよう』
『おやすみ』
いつもの私なら感じることのできなかった幸せを与えてくれた

そんな君が大好きだった



・・・

でもここで止まってはだめだ


シオン畑は生きる勇気をくれるけど

公園は輝いていた過去しかくれない



やっぱり
ここでは止まって思い出に浸ったら
前に進めない


ほんとうは止まりたいけど

過去に憧れちゃうから


「止まらなくていいです」