「新入生のみなさま、本日は君たちの入学式です!これから同じクラスの仲間と絆を深めあい、価値ある高校生活を送れるよう…………」


「ふぁあ〜〜…」
入学式っていうのは、なんでこう眠くなるんだろう。校長の無駄話が子守歌に聞こえてくるね。

周りを見渡す限り、新一年生だけでも10組合わせて四百人はいるだろう数の生徒数が体育館に敷き詰められている。
無駄に多いよな…この人数は。





入学式が終わり、生徒は各自の教室に戻りひとときの自由時間を与えられた。
あれだ、担任が初めてのホームルームの準備をしているであろう時間だ。
俺ら二組の教室も、さっそくお互い自己紹介し合ってるグループがいくつか目立つ。
俺は特になにもすることがなかったが、
「あれが柴田君…?」
「確かに怖そうだね。話なんてかけられないよ。」
…とまぁ、あまりにも周りがガヤガヤうるさかったので、席を立って教室を出た。

どいつもこいつも同じことしか言わねぇのな。この学校にも不良の一人や二人はいるだろうに。

廊下を歩いている今も、周りの奴は俺を見ては怯えるようにサッと道をあける。
正直、こういうのは悪くない。道をあけられる気分はそう悪くないな。うん。

なんてことを考えながら歩いていると、前方から大きなダンボールを抱えて、危ない足取りの女子がこちらに歩いてきた。

「あ…?」
そのシュールな光景に思わず眉をしかめる。誰だあいつは。