「そういや聞いたことあんだけどよ……主に女子高生をさらっては大量のアルコールを飲ませて楽しんでる不良集団がいるって話なんだけど、どこの学校だっけな………」
木下が重要なところを思い出せずに苦悶していると、
突然大野がハンガーに掛けてあったカーディガンをむしり取り、俺の突っ立ってる入り口に向かってきた。
それをみた木下が慌てて大野の腕をつかむ。
「待てって!どこ行くんだよ!」
「決まってんでしょ!!そいつらさがし出して、白状させてやんのよ!」
大野の怒りの形相に、木下は一瞬ひるんだが、
「そんな簡単に見つかるわけ無いだろ!第一、本当にそいつ等が保証はないんだぞ!」
「じゃあどうしろってのよ!ここで黙っ
て夜佐神さんが目を覚ますのを待てって言うの!?悪いけど私、そんなに気長くないから!」
大野の怒声で室内のみんなが黙り込む。
「でも、どうやって見つけるの?どこの生徒かも分からないのに、見つかる当てなんて…」
「例の倉庫近辺で事情聴取してでも見つけるわ!この辺の都立なら数は限られてくるはず」
千晶のもっともな疑問にもあっさり答えた。確かに、そんなたちの悪い不良集団が私立の生徒だとは考えにくい。
しかし、その犯人が本当に木下の言う不良集団だとも限らない。
夜佐神が目を覚ませば確実なことが聞けるのだろうが、今の大野はそれまで待てなさそうだ。
すると、ヒートアップしている大野の制服の裾を、香川がそっと掴んだ。