「そんな……」


医師の説明を受けた香川は、力なく俯いた。大野も木下も、俺ですら今の説明に言葉すらでなかった…


医師はかるくお辞儀をすると、静かな足取りで病室を出ていこうとすると、そこでちょうど千秋が病室に飛び込んできた。


ぶつかりそうになると、医師と千秋はすばやくペコリと頭を下げ、すぐこちらに駆け寄ってきた。


「夜佐神さんは!?」


未だ一人夜佐神の様態がわからない千秋に、木下が先ほどの医師の説明を簡潔に話した。


「夜佐神さんが…そんな…」

説明を受けた千秋は信じられないといった顔でつぶやいた


「綾乃が急性アルコール中毒……?あり得ないわ!誰が綾乃にこんなことを!」


次いで香川が涙混じりに叫ぶ。


「私、見たわ…」


大野の震えるような声に、全員が視線を向けた。


「夜佐神さんを見つける前、倉庫から大勢の男が出てくるのを見たわ。きっとあいつらの仕業よ!」


「!どんな人だった!?」


大野の貴重情報に食いつくように、香川が訪ねるが、大野は苦そうな表情をし、


「明らかに不良集団っぽかったけど、私服だったし、私もすぐに倉庫に駆け込んだから…」


すると、大野のセリフを聞いた木下が「まてよ……」と、手を顎に当て、目を細めて呟いた。