夜佐神 綾乃angle


「なんとかまぁ、引き受けてくれてよかったわね。」

隣で一緒に坂を歩いている沙織がうれしそうに言う。
基本私と沙織は家が近く、帰る方向も一緒なのでいつもこうやって一緒に帰ることが多い。


「うん…」

沙織の言葉に小さく頷く。もう時刻は四時20分。
目の前には綺麗な夕日がオレンジ色に光っている。

この坂からは障害物がないので夕日がきれいに見えることで密かに有名らしい。

私たちは放課後になってから、もう一度柴田君に頼み込んだのだ。

私たちのキャッチセールス並のしつこさにとうとう耐えきれなくなったのか、柴田君は補習の先生役を引き受けてくれた。


もちろん、快く引き受けてくれたっていうのとはほど遠いかもしれないけど………。