***




午後四時

もうとっくに授業も終わり、日も傾いてきている。
帰路についている聖火校の生徒もチラホラとみえる。
その中に、あまり人の通らなそうな小さな道を、ひとりの眼鏡をかけた男子生徒が歩いていた。

彼も聖火校の生徒で、クラスでも真面目な、絵に描いたような優等生で、この日もいつも通り学校から家に向かう途中だった。

彼が細い道を曲がろうとしたとき、


「え……」


彼は思わず足を止めた。道を曲がろうとしたとき、その細い道から数人の、柄の悪い男達が出てきて、眼鏡男子の行く手を阻むように立ちふさがったのだ。


男子生徒は怖くなり、来た道を引き返して逃げようとしたが、

「………っ!」

戻ろうとした道も、柄の悪い不良達によって塞がれていた。
恐らく待ち伏せでもしていたのだろう。不良達は全員バットやら鉄パイプなどのありきたりな武器を担ぎ、男子生徒に鋭い視線を飛ばしている。

見る限りじゃ学生らしいのだが、全員自由な私服姿なので断定はできない。


「な……あ………」

こんな大勢に囲まれて、これからリンチにでもされるのかと思うと体のふるえが止まらない。

そんなガタガタ震えている男子生徒に向かって、不良グループの中でも一際体格のいい男が一歩前に出た。

そして、怯える男子生徒に向かって、一言


「……てめぇ、柴田リヒトって知ってっか?」