「綾乃はね、ただの良心でこんなこと言ってるんじゃないの。


愛なのよ!」


『は?』


香川の最後の一言に、俺と夜佐神が同時に首を傾げる。
夜佐神本人も、今の言葉の意味が理解できないと言った表情をしている。

そんな状況の中、香川は続ける。


「愛の力は偉大なの!愛の力は最強なの!柴田君が綾乃をどう思ってるか知らないけど、綾乃の柴田君に対する思いは愛なのよ!」


「ななな、なに言ってるのよ沙織ぃ!」

夜佐神が顔を真っ赤に赤面させながら香川に怒鳴る。よっぽど恥ずかしかったらしい。

「柴田君違うからね!?沙織は時々頭のねじが飛んじゃう子だから、今の言葉は全部でたらめだから!」

「綾乃!人を変人呼ばわりして誤魔化そうとしないで!自分の気持ちを偽ってはだめ!その感情は間違ってないんだから!」


「いやいや、まずあなたがいろいろと間違えてるよ!間違いだらけだよ!そして自分を偽ってるのも沙織の方だよ!
その暴走キャラどこから出てきたの!?」


またも俺の目の前で夜佐神と香川が言い争いを始めやがった。こいつらはよほど仲がいいらしい。