複雑な表情の俺に、香川は簡単に説明してきた。
「つまり、テストで一番点数のよかった生徒は、今日の補習を受ける生徒に勉強を教えてあげるの。」
「んなもん教師の仕事だろうが。んで俺が手伝うんだよ。」
すると香川は苦笑いを装いながら
「それがねぇ、今回、赤点取った生徒が案外多かったらしくてね、先生一人じゃ足りないんだって。」
「どんだけバカなんだ!このクラスは。」
単にバカなだけならいい。それで俺を巻き込むな!くそ、こうなると分かっていたら、回答用紙を白紙で出してやったのに……。
いや、待てよ?
チラッ
俺はジトッとした目を、香川の隣にずっといる夜佐神に向けた。
「………」
めっちゃ笑顔だ。
俺がジトーっとした視線を送っても、楽しそうにニコニコしてやがる。
手めぇの入れ知恵か…
どうせこの補習を機に、俺を講師役にさせてクラスに馴染ませようとか、そんなこと考えてんだろうな。
「で、もちろん引き受けてくれるよね?」
「断る。」
香川の言葉に、即答した。理由なんて言うまでもない。面倒くさいからだ。
夜佐神がなにを考えてるのかは知らんが、そんなメンドウなイベントに参加してたまるか。
クラスに馴染むとか、そんなことに興味はない。夜佐神が俺のことを考えての提案だとしても、断固拒否だ。
なにが講師だ。
そんなふざけた役、俺が引き受けるわけがな−−−−−