「へ、ヘッポコ!?」

俺の言葉に相当ショックを受けたのか、木下が白目をむいて凍りついた。

が、そんなことは微塵もどうでもいい!なぜ満点の俺がこのバカチンと一緒に補習なんザ受けなきゃならねえ?
そもそも俺が補習を受ける意味がない。

木下が先ほどの言葉をやたら気にしてるらしく、「は、どうせ俺はテストで28点しか取れんような鼻くそヘッポコ頭ですわ……」とか小さな声でぶつぶつ呟いていると、


「木下君の言うとおり、柴田君も今日の補習に残らなきゃだめなのよ?」
「っ!?」

木下の後ろから顔を出したのは、このクラスの女子グループのリーダー敵存在にしてクラスの人気者、香川だった。


香川はさっきからの俺らの会話を聞いていたのか、会話に参加するように向こう側からやって来たようだ。わざわざ来なくてもいいものを……


「な、香川……」

香川はニコニコ顔を俺に向けてくる。なんだその笑みは…


「お前、今なんつった?」

しかめっ面でそう香川に訪ねる。が、香川は未だにニコニコした顔で答えた。


「だから、柴田君も今日補習に残るんだよ?」

「なんのために。」

「補習の先生をしてもらうために。」

「は?先生…?」


思わず眉をしかめる。が、香川は「そう、先生。」と軽くうなずく。


補習の先生つうのは、つまるところ教師の代役ってことか?