別に無視したってよかったのに、なんでか、他人事には思えなかった。

「そのまま中学三年生にあがったある日さ、初めてクラスが一緒になったひとりの女の子が、頻繁に私に話しかけてきたの。
その子はクラスの委員長で、みんなからの人気も高かった。あまりの気さくさに私も最初は戸惑ったけど、毎日毎日話しかけてくるから、なんでこんな私に構うのって尋ねたの。

だって、その子も私がクラスの置物状態だって知ってるはずだもん。
いくら委員長でも、こんな孤立してる私に構うはずがないって思ってたから。

でも、その子は言ったの。
『だって、同じクラスの友達なんだから当たり前じゃん』って……。」

「…………」

「その言葉が、すっごいうれしかった。
その子の存在が太陽みたいに輝いてて、初めて、人に憧れた。
私もこんな人になりたいって……。」


夜佐神は再びこちらに振り返ると、自分のつらい過去を話してたにも関わらず、優しくほほえんだ。


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