「リヒトー!早く起きなさーい!!」
下のリビングからお袋の声が響いてきた。

「っせーな、起きてるっての」
お袋に聞こえるはずのない声でぼやきつつ、俺は布団をはいだ。

そして目に映ったのは、クローゼットにかけられている都立『聖火高校』の制服だ。そのブレザーを見つめながら、俺は思わずつぶやく



「…今日から高校生…か」




ガチャッ
外に出てみると、まだ春の序盤の寒さが俺を出迎えてくれた。


今更俺がいちいち「行ってきます」だの言うようなお利口さんじゃないってことぐらい、もうわかるだろう。

「さっみ…」

肩をすくめながら、仕方なく学校に向かって歩き始めた。


うちから学校まで、そう離れてるとは言えない。並木道を歩いて大通りを少し行った先にある坂を上ればすぐに聖火学園だ。
ぶっちゃけチャリで行ってもいいんだけど、チャリの登校許可書やらの手続きがめんどくさそうだし、別にあるいていってもつらい距離じゃない

それで今並木道をとぼとぼ歩いているわけだが…
「……」
歩きながらも思わず言葉を失うね。
さすがにこの光景は心を奪われた