大野は、振り向く俺のことをまっすぐ見つめたまま言った。 「意外にいい奴だね、柴田って。」 それは、俺が始めてみた、大野の笑顔だった。 「ま、出会い頭に『邪魔だ道開けろー』とか言う奴がいい奴なわけないか。」 「出会い頭に人の頭をダンボールでどつく奴に言われたくねぇよ!」