俺は、大野の言葉を黙ったまま聞いていた。


「私は、もっと普通でいたいだけなのに……。普通に高校生活を送りたいだけなのに………」


大野の言葉は、後半につれてしぼむように小さくなっていった。

普通の高校生活…ね。

確かにそれができれば苦はないだろうな。



「ごめん……こんなことあんたに言っても、何も変わらないのにね……」

大野は小さくそう言うと、落ち込むように俯いた。



「自分はどうしたいんだよ。」


「え…?」

俺の唐突の言葉に、大野が顔を上げてこちらを向く。