チラッ

なんとなく、大野の方を右目だけでちら見する。
といっても、顔ではなく、大野の左手だ。


大野の左手には、血がにじんだ包帯が巻かれていた。

さっきこいつと睨み合ったときにはあんなの巻いてなかったと思うが、
いったいこいつは何をやらかしたんだろうな。


木下いわく、こいつは中学の時から暴れてたって言うし、喧嘩でもしたんかね。

さっきあんだけ俺に説教しておいて、自分だって似たようなもんじゃねぇか。


大野の左手から視線を少しずつ上に上げていき、大野の顔に視線を移す。



大野は俺のことをガン見していた。


「わっ」

大野の視線に思わず声を上げる。
こいつ、いつからこっち見てたんだ?