「ここで待ってろ」

体育教師は俺にそう言い残し、ひとりで職員室に入っていった。

「…………」

「…………」


職員室前に残されたのは俺とそいつの二人。

なんだかいずらい空気が二人を包み込んでいる気がする。

俺はあまり隣を見ないようにしながら、声をかけなければいいものを、そいつに尋ねてしまった。

「……なんでお前がここにいるんだ…?大野。」
なぜか知らないが、大野は俺が来るより前に、今の俺のように職員室前で立ち尽くしていたのだ。
そりゃ気になるだろう。


だが、話しかけるなり大野はビクッと反応し、


「ベ、別に、あんたには関係ないでしょ。」

「…あっそう。」

なら聞きませんよ。どーせ俺には関係ないし。


体育教師がなかなか戻ってこないので、思わず大きなあくびをする。

しかし、顔では全く気にしてない表情をしてるつもりだが、やはりなんか気まずいな。

なんで職員室前で俺と大野が2人して並んでなきゃいけないんだ?