ドガァッ!!
瞬間、荒山が勢いよく宙を舞った。
いや、正確にはおれが蹴り飛ばしたのだ。
荒山は白目をむいたまま、屋上から投げ出され、重力によって地上に急降下する。
その光景を目の当たりにした木下プラス荒山の手下二人は、口を開けたまま凍り付いている。
ドゴォン…!
数秒後、荒山が地面に落下したであろう効果音が屋上にまで響いてきた。
みんなが凍り付いているなか、俺は一滴の汗を垂らしながら、一言。
「……やっちゃった」
「いややっちゃったじゃねぇよ!やりすぎだよ!!」
俺のつぶやきに、木下が全力とばかりに怒鳴った。
とはいえ、俺も全くの無意識で蹴り落としちゃったわけで、そんな責められても困る。
「しょうがねーだろ。足が出ちゃったんだから。」
「人を屋上から蹴り落としおいて、しょうがないの一言で済むかぁ!」
「すむんじゃね?死んじゃいないだろうし。」
「いやいや、死んでも全くおかしくないよ!?ここ六階だよ!?」
「てめぇらぁ!」
俺と木下の言い争いを遮るように、突如荒山の手下1が怒鳴りをあげた。