「『荒山さん』だ、一年坊。
あんまりなめた口きいてっとここからダイブさせるぞ?」


たしかにこの高さから落ちたら痛そうだ。


だが俺は全く動じずに、荒山をバカにするような顔で睨み続ける。

その表情が気にくわなかったのか、荒山は眉間にしわを寄せ、


「なんだその顔は。気にくわねぇな…」


そして、ガッと俺の胸ぐらを掴んできた。

おいおい、さっきも大野に胸ぐら捕まれたばっかなんだから、あまり強く引っ張らないでほしいな。
制服がダルンダルンになるだろうが。


それにも構わず、荒山は俺に顔を近づける。


「そんじゃあやっぱり、ここからダイブしてみっか?
なぁ?一年坊。」


後ろにいる手下二人も、こいつ終わったなとでも言いたげな顔で笑っている。

木下も汗ダラッダラに流しながら怯えてやがる。

俺は黙ったまま俺の胸ぐらを掴んでいる荒山の手を握った。
そして、笑顔で言う。



「先輩…」

「あ?」




「手本見せてください。」