「はぁ……」

特にいくあてもなかった俺は、足の向くままに屋上に来ていた。

柔らかそうな白い雲ときれいな青空を柵に肘かけて眺めながら、ため息をつく。


入学初日からなぁにやってんだろうな俺は…

でもあいつ、もちろん赤髪女に対する怒りが静まったわけではない。

今まで俺に絡んできた不良でもあそこまで腹の立つ奴はいなかった。
なんで俺がここまで腹を立ててるのか。


我ながら大人げないのはわかってる。あんな奴普通に無視すりゃよかったはずなのに。
正直自分でもわからない。

なぜ俺があいつに対してそこまでムカついてたのか……



「ったく、やってらんねぇな……」


思わずそう青空に呟いてしまう。
またくだらねぇ三年間が始まりそうだな…



「よっ柴田。」
「あん?」

俺はだるそうに呼ばれた方に振り向いた。
立っていたのは、見覚えのない茶髪の男だった。

「さっきの見せてもらったぜ。入学初日にやらかすとはさすがだな。」

そいつはニカニカしながらそう話してくる。

俺はその男をジトッとした目で見ながら、


「…てかお前誰だよ。」
「木下だよ!木下省吾(きのしたしょうご)!同じクラスだろうが!」