「これ以上ここで騒ぎを起こさないでいただいたい。喧嘩ならよそでやっていただけませんか?」

男は落ち着いた様子で話す。

「あんた、誰よ。」

俺より先に、赤髪女の方が俺の胸ぐらから手を離しながら男に問う。
俺も手を離し、男を睨みつける。


男はやはり落ち着いた様子で答えた。

「僕はこの学校の生徒会長、秋山悠斗(あきやまゆうと)です。」

「生徒会長だ?」

今度は俺が顔をしかめて聞き返す。
「ええ。」
確かに学年カラーを見るところ、緑だから一年じゃないとは思ったが。


「その生徒会長様が何のようだ?」

俺は上級生相手に全く敬語なんて使う気も持たず尋ねる。

その生徒会長、秋山はあきれるように嘆息をつくと、


「こんな騒ぎを起こしておいてよくそんなことが言えますね。
こんなところで喧嘩なんかしてたら、生徒会でなくても止めると思いますけど。」