ここまでムカつく奴は初めてだ。
別に俺のことを知らなくてもおおいに結構だが、どう考えても初対面にとる態度じゃねぇ。


「おい見ろよ、マジヤンの柴田と危険人物の大野が睨み合ってるぞ!」

「マジだ!入学初日からやり合うつもりか!?」

「絶対こうなるとは思ったぜ。」

俺と、ダンボールを抱えながらもとんでもなく生意気な口を利く女子を囲んでいる野次馬たちが、コソコソと騒ぎ始めた。
かなり耳障りだが、今はそんなことどうでもいい。

「てめぇがどけよ」
「は?」
俺の言葉をうまく聞き取れなかったらしい赤髪の女子は、眉をひそめて聞き返す。

俺はもう一度、聞こえるような声で、眉間にしわを寄せた形相で、言ってやった。


「そんなに通りたきゃ、てめぇが道あけろっつってんだよ!正直目障りだ!」

俺の怒声で、あたりは一気に静まりかえる。

「あんた、力ずくでどかされたいわけ?」

赤髪女が目を細めて言ってくる。が、俺はその言葉を鼻で笑ってやり、

「は、ひょろひょろの女がよーそんな口先だけの言葉が言えるなぁ。」

赤髪の女子も黙ったままジーっとこちらを睨んでいたが、「はぁ…」と小さく息を吐くと、

スタスタ
と、言ったとおりに道を開け、俺の横を不機嫌そうに通りすぎ……