店長は、最近やたら店裏口で怪しい男をみかけるようになっていた。
何をするわけでもない、ただ真侑が帰っていく後ろ姿を見送るだけの男・・・。
晶生だった。
真侑の前から消えたはずの晶生。
3ヶ月以上経って、姿を現したのだった。

晶生は自分と一緒にいると真侑はダメになると思い、別れる決意をした。
だから、真侑の前には立てない。そう思っていたのだ。
そんな昌生を店長は問い詰めた。
「何のために現れたんですか？また真侑さんを苦しめるつもりですか？」
「苦しめるなんて・・・。嫌いで別れたワケじゃない。一緒にいない方が、真侑のためだと思って・・・」
昌生の勝手な言い分に店長は怒りを爆発させる。
「いつだってお前しか見てない。今だって、お前を愛してる。彼女にはお前の声しか届かないんだよっ」
店長にそう言われて、涙を見せる晶生。
「真侑がいないオレの世界には何も無いんだ。そんな中で、オレは今もまだ彷徨ってる。真侑に会いたい。真侑を抱きしめたい…。」
店長は、真侑の幸せは晶生が戻ってくることだと分かっていた。
「あと一週間で、妹の手術費用が貯まる。そしたら、真侑さんは店を辞めるかもしれない。彼女は自分で道を切り開いてる。お前はどうするんだ？！」
晶生は店長は真侑が好きなのかもしれないと思った。店長に答えるかのように決心を伝える。
「オレ、仕事探すよ。真侑の退店日までにきっと見つけて、真侑を迎えに来る。もう逃げない。これからはオレが真侑を支える」