この音を聞くと、ダルいなんて思ってたことなんか全部忘れてしまう。


あたしは朝、この音を聞くために起きるのだ。


……なんて言ったら過言だけど。



ともかく、あたしはカーディガンを持って窓に走り寄る。


「修ーっ!」


大きな声で呼ぶと、修はしかめっ面をして静かに、と言うように人差し指を立てた。


修こと夏目修司は、あたしの幼なじみ。


家が近所であることと、昔からそうだという理由で毎朝一緒に登校している。


しかも修の自転車に二人乗り。


このことはあたしの自慢だった。