「僕達、完璧に遅刻だね」

祐樹先輩は笑いながら話した。

「この際1限目屋上でさぼっちゃう?」

祐樹先輩からサボるって言葉を初めて聞いた。
私はもっと真面目な人だとばかり思っていたのでびっくり。

「私も1限出たくないと思ってたんでいいですよ」

1限は私の大嫌いな体育。
それにこんな炎天下の下で体育なんてしたらどうにかなりそうだ。

「へー、園子ちゃんもさぼったりするんだぁ」

「いやいや、先輩こそ」

先生に見つからないように屋上まで上がってきたら
屋上はとても風通しがよくて涼しかった。
都会ながらも少しは緑もあった。

「園子ちゃんってさぁ、好きな人とかいたりしないの?」

「えっ?今の所いませんよ?」

私はこの祐樹先輩の質問にドキッとした。
けどこれだけではまだ確信は持てない。

「祐樹先輩こそモテるから好きな人とかいるんじゃないですか?」

「ん~、いるけど片思い中かな?」

「やっぱりいるんだぁ、祐樹先輩ならアタックしたら女子もいちころですよ」

「本当にそう思ってる?」

笑いながら返された。
前に友達が言ってたけど
好きな人いる?って聞く男子は90%の確率で
その子の事が気になってるって言ってたけど
祐樹先輩に限っては有り得ないよね?

「思ってますよ」

祐樹先輩は私の好みのだ。
優しくて優しくて優しくて、
あれ?私の好きなタイプって優しいだけなの?

そうだ、ずっと隼人と一緒にいるからいつしか優しい人がタイプなんだ。

「それじゃあさぁ、僕とつき合ってよ」