「パジャマに着替えてもう寝るんですか?」
私達が演技の練習している先生と晴美はまだこの頃は
付き合っておらず、晴美の片思中だ。
「まぁね、最近疲れ気味で早いんだよ」
「本当ですか!そんな時にすみません。短時間で作りますね」
そう言いスープを作り始めた。
葉山さんと実際一緒にドラマとか撮るとこんな風に
演技に真剣に入り込めるんだろうな?
と思いながら料理を作った。
「こちらこそごめんね、わざわざ作らせて」
「いえいえ、今そちらに運びますね」
そう言って小走りにスープを先生の元まで運ぼうとした時
足元を滑らせてこけそうになった。
これは私のミスだ。
"やってしまった"私はそう思いながら目をつぶった。
しかし…
その時葉山さんに助けられ転けずにずんだが
私は葉山さんに後ろから大きな腕で包まれている。
"葉山さんの心臓の音だ"
鼓動までもが私の体をつたい聞こえてくる。
「園子ちゃん大丈夫かい?」
「あ ははははい!」
私はたじたじな返事を返した。
返事どころか私の心臓がバクバクなるのを抑えようとすればする程鼓動は早くなる。
「演技の練習ありがとう、今日はここまでにしよう」
「本当にごめんなさい」
私は葉山さんの相談に乗る事すら出来ず寧ろ葉山さんに迷惑をかけてしまった。
家に帰ってからも葉山さんの暖かさは残ったままだった。