「えっ!誰?誰なの?」
私はその人のお陰で新宿で降りれた。
「園子ちゃん」
誰かが私の名前を呼んでいる。
この人だ!私の手を引っ張った人は。
「園子ちゃん」
しかし人が多くてなかなかみつからない。
その時私の名前を呼びながら目の前に現れてきたのだ。
「園子ちゃん、急に手引っ張ったりしてごめんね?びっくりしたでしょ?」
私の吹奏楽部の先輩の青柳祐樹先輩だった。
「あっ!祐樹先輩だったんですか、本当にありがとうございました」
まさか祐樹先輩だとは思わず心の中では相当びっくりした。
「あれ?けど祐樹先輩ってこっち方面でしたっけ?」
祐樹先輩は私の家とは全く逆の方面だ。
電車も違うはずの祐樹先輩が何故?
「あ~、まぁいろいろあってね」
私はそれ以上は何でかは聞かなかった。
「ここまで来たなら一緒に学校までどうかな?園子ちゃんが嫌じゃなければだけどね」
祐樹先輩は相変わらず優しかった。
私は即答でOKを出した。
駅から学校まではそう遠くなく5分程で着く距離だ。
先輩ともこうして会えるのもあと半年ちょっと。
部活も来月の夏のコンクールが終わると同時に
先輩達も部活を引退してしまう。
そんな事もあって放課後は遅くまで練習がある。
キーンコーンカーンコーン
「先輩!あれって本礼のチャイムですよね?」
学校はいつも8時40分から始まる。
しかし今日は30分から始まるって事を忘れて2人揃って遅刻してしまったのだ。