ピーンポーン
今回こそ葉山さんの納得いくような演技ができるかも
私はそう思っていた。

「晴美!どうしたんだ?こんな時間に」

葉山さんはさっきとは全く違い役に入り込んでいる。
葉山さんの演技は本物だ。

「あのー、最近先生元気なさそうだったので気になって来ちゃいました」

葉山さんが私が演じる晴美に対してとても愛おしい目で見るので私はとても恥ずかしくなった。
しかしこれも演技、ただの演技。

「こんな時間に危ないじゃないか、僕は大丈夫だから家に帰りな、家まで送るから」

「せっかく来たのに夜ご飯くらい作らせて下さいよ、スーパーで材料も買ってきたので」

「それじゃ少しだけだよ?」

そう言ってまずはリビングへ入った。
さっきまで散らかっていた食器はいつの間にか綺麗洗われていた。
いつの間にパジャマに着替えたんだろう?

葉山さんのダークブラウン色の髪に馴染むダークな色のパジャマだ。
パジャマにもしわ一つなくとてもパジャマには見えない。