「えー!」

皆が口を揃えて言う。
AJESの最終審査と言うのは

"AJESといえば葉山朽。今から朽とアドリブで演技してもらいます"

まだ演技も何も知らない素人に即興で演技なんて無茶だ。
誰もがそう思うはず。

葉山朽とはAJESが誇る若手No.1俳優。
その甘いマスクで女性を魅了し
今では芸能界1抱かれたい男が葉山朽だ。

「私絶対に無理だわ」

「こんなの無茶よ」

次々とリタイアが出た。
葉山朽を踏み台に使えば一気に私の知名度は上がる、私はそう思った。

"それでは最終審査始めます"

まずは100番の方、

「…。」

「…。」

やはり所詮は素人。
まるで地獄のオーディションだ。

次は私の番よ、何としても受かってやる!

「…。」

「もう出て行くから」

何とかセリフは言えたがどう返ってくるのか…

「俺がお前に冷たく接したりしたからか?」

えっ?
あの時の隼人との言葉がシンクロしてる。

「…。」

私は呆然としてしまった。
まるであの時の隼人に口調も速さも全て似ていた。