「お前の指が短いんだろ?」
「違うもん!手が小さいだけだもん」
やっぱり男の人の手は大きく第一関節分私のより大きかった。
「お鍋どこだっけなぁ?」
時間短縮のため圧力鍋を使おうと思い探した。
「確か上の棚に入ってたぜ」
隼人がジャガ芋を向きながら私に話かけた。
私は背が低く少し棚まで手が届かない。
台に乗り圧力鍋を取ろうとしたその時
ガチャン ガチャン ガチャン
「きゃー!」
バランスを崩してしまい台から落ちてしまった。
しかしどこにも痛みを感じない。
まさか…。
隼人がとっさにかばってくれて私は隼人の腕の中にいた。
「隼人!…大丈夫?」
さっきまで皮剥きをしていた隼人。
とてつもない反射神経だ。
「本当、お前っておっちょこちょいだな。この先が心配だぜ」
わざわざ私を助けてくれたの?
私の事嫌いなのに?
どうして中途半端に優しくするの?
こんな事されたら私…。
「いい迷惑よ、だけどさっきはありがとう」
「いいから早く俺の上からどいてくれる?」
私はまだ隼人の腕の中にいた。
そこはとても居心地がよかった。
大きな体ですっぽり私の体は包まれていた。
「あっ、ごめんごめん」
隼人の中で包まれていた時は何故か嫌な事も忘れられていた
「お前は向こうに行っときな、今日は俺が作るから」
「えっ、でも隼人料理作れたっけ」
私は小さい頃からこの家にいるが隼人が料理をしている姿なんて一度も見た事がない。
「うるせー、いいからあっちいってろ」
そう言って隼人は肉じゃがを作り始めた。