「あのね、私の叔父が病気で重態みたいなの。それで私とお父さんで叔父のいる京都に行かなきゃならないの」

私は目を丸くさせ驚いた。
おじさんとおばさんが京都に行くって事は…

「園子ちゃんには迷惑かけるが一週間程いいかね?」

おじさんが申し訳なさそうに私に言う。
いいもなにも無理なんて言える状況じゃない。
一週間も隼人と一つ屋根の下で暮らすのは嫌だ。
しかし今回ばかりはただをこねている場合じゃなさそうだった。

「わかりました」

私は渋々おじさんに返事をした。
隣りにいた隼人も驚いた様子だ。

「それじゃ今すぐにでも行くわね、行きましょお父さん」

おばさんとおじさんは大きな荷物を持って家を去って行った。
家は静まり返って時間が止まったみたいだった。

「…。」

「…。」

最初に口にしたのは隼人の方だった。

「お腹減ったよな?」

私達はまだ夕飯をとっていなく、時間はもう8時ちょっと過ぎ。
さすがの私もそろそろお腹がすいてきた。

「減ったね、何食べようか?私が作るから」

昔から料理は得意だ。
おばさんにあれこれと教えてもらってたからだいたいの物は作れる。

「それじゃ、肉じゃが」

肉じゃがは隼人の大好物。

「じゃあ作るからテレビでも見ときなよ?」

「…いや、俺も手伝うよ」

隼人が料理だなんて、おばさんが知ったら
びっくりするだろうな。

「あ、ありがとう。それじゃジャガ芋洗って」

ジャガ芋を洗ってる隼人の姿がとても愛くるしかった。
不器用ながらも洗い一つ一つ皮を剥いていく。

「隼人の指って長いよね~」

今まで隼人の手なんてまじまじ見る事なんてなかったが
隼人の指はとても綺麗ですらっとしていた。