「あの、本当にごめん。まさか泣くなんて思わなかった。」

「そうね、小さい頃はよく隼人の前で泣いて隼人を困らせてたものね。」

「俺もあの頃はあの歳なりに何て声かけようか考え…」

「そう、私は隼人を困らせたくないからしだいに隼人の前では泣かなくなった」

「…」

「だから一人で泣ける場所を探してたのよ」

「本当にごめん」

隼人は私に泣かれるのが一番の弱点だった。
迷惑かけたくなくて次第に山奥で泣くようになった。

キーンコーンカーンコーン

「ほら5限始まったわよ?早くF組に戻らないと」

「私も保健室行くから」

私は颯爽と保健室へ向かった。
隼人はしばらくその場に座り込んでいた。

保健室のベッドではいろんな事を考えてた。
今日は1日に幸福と不幸が訪れた日だ
祐樹先輩の返事も考えないとダメだし
そんな事を考えいたらいつの間にか眠りについていた。

目を覚まし時計を見るとまさか17時を過ぎたところだ。
ベッドから降りると保健室のソファーに祐樹先輩が座っていた。
きっと情報が回ってわざわざ来てくれたんだろうな。

「先輩!部活は?」

「…。」

先輩は一向に口を聞こうとしない。
そうだ私が隼人と住んでるって事をきいて絶望したに違いない。
それで口をきいてくれないんだ。

「…ごめんなさい!」

えっ!何で祐樹先輩が謝るの?
悪いのは私の方なのに…。

「僕がもっと支えになるべきだったんだ、なのに僕だけの意志で告白なんかして。だから今日の話は無しにして欲しい。」

「えっ!先輩が謝る事じゃないですよ、元は私が悪かったので」

「このままでは園子ちゃんを幸せにしてあげる自信ないよ」

「…。」

「本当ごめん」

先輩は"ごめん"って私に伝えるとすぐに出て行った。
私には理解なんてできなかった。
やっと幸せになれると思ったのに。

やっぱり私は独りぼっちな運命なんだね。