私は物心つく頃から両親はいなく
知人の家で暮らしていた。
「園子ちゃーん!ご飯ですよー、降りてらっしゃい」
「はーい、今すぐ行きまーす!」
私が暮らしている家は一般的な家庭でどちらかと言うと裕福な方だ。
「園子ちゃん、今日の学校はどうだった?」
「お袋、園子 園子ってうるさいなぁ」
この家には私と同い年の男の子がいる。中山隼人だ。
「いいじゃない、ね~?お父さん」
「そうだぞ、隼人は何でそんな園子ちゃんに冷たいんだ?」
「気にくわねーからだよ」
そう言うと箸をほとんどつけずに下げて自分の部屋に戻って行った。
「何かごめんなさい」
私がこの家に来るのが間違いだったんだ。
私は早く一人暮らしをしようと思った。
「あ~ら、心配しなくていいのよ?隼人の言う事なんてほっときなさい」
「そうだよ、園子ちゃん。私達は園子ちゃんを娘だと思っているからね」
娘だと思っている…。
そんなの嘘に決まってる。
「さっ、食事の続きをしましょ」
「そしてどうなの?学校生活は?」
「いや~、普通ですよ?」
「園子ちゃんの年頃だと好きな人とかもいるんじゃないの~?」
おばさんが興味津々に聞いてくる。
「気になる人なんていませんよ(笑)」
「あ~ら?本当かしら?」
「おいおい、いいじゃないか。園子ちゃんがいないって言ってるんだから」
「またそんな事言って、お父さんはただ園子ちゃんに彼氏ができるのが寂しいだけでしょ?」
「ごちそうさまでした」
「あら?もう食べ終わったの?それじゃ、お風呂にでも入ってらっしゃい」
「ありがとうございます」