真っ暗。
携帯のライトで道場を照らす

あれから一年も経っているし楽器や機材は見当たらなかった
この道場の匂い・・・懐かしいな
壁には古い竹刀が置いてあった。
手にとり剣の達人を気取って素振りをしてみる
上機嫌

ここも来月には取り壊されるらしい
最後に城崎と二人で来れそうだ

良かった・・・




「君!何をしてるんだ!!!」

振り向くと剣道場の入り口に懐中電灯を持った警備員が数人いた

「いや・・・あの・・・僕はここの生徒で・・・」

「もしかして校舎の窓ガラスを割ったのも君か?」

「え?いや・・・・・・なんで・・・」

「竹刀持ってるじゃないか」

なんてタイミングが悪いんだ

「いや、俺はただここにあった竹刀を・・・」

「通報があったんだよ。不審者が学校に侵入してるようだって
とりあえず来てもらおうか」

「さっさと来い!」

「ちょっ・・・ちょっと何かの間違いです・・・!」

「ガラス割っといて何言ってんだこいつは!器物損害だぞ」

離してくれ

離してくれよ


やっと幸せがくるんだよ

城崎と幸せになれるんだよ

何故かその時顔の傷が痛みだした