「隼人くんから初めてメールをもらって
返信した直後に、アコちゃんから
メールがきたの。
隼人くんに近づかないでって。

それを見た瞬間、私、何してるんだろうって。
別れさせ屋みたいなことして人を悲しませて。
アコちゃんの気持ちを考えたら
もっと悲しくなって。
隼人くんを好きな気持ちは
誰にも負けないって言われて。
昨日の夜、またアコちゃんからメールがきて、
こんな事になってどうしてくれるのよって…」

「ちょっと待って。
何でアコがオレと陽のことを知っているの?」

昨日も別れ話の公園で、オレの好きなのは
陽じゃないのかと疑っていた。

え?とキミが顔をあげる。

「マサが言うはずないし
隼人くんが言ったんじゃないの?
アコちゃんは私のメアド
も知らないはずだよ?」

オレは首をふる。

「陽のことは姉にしか言ってないよ。
でもアコはなんとなく気付いていたみたいだけど、
何でだろう?」

マサが言ったとしか考えられなかった。
でもなんで陽のメアドまで知っているんだ?


「で、陽は自分の気持ちはどうなの?」

オレは真っ直ぐに陽をみる。

「こんな私だし、隼人くんの気持ちに
応える資格はないと思う…

箱根で付き合おうって言われた時、
ああこれでマサへの責任は果たした、
って思ったけれど、同時に何をしてるんだろう
って思って…」

とキミは俯く。

「オレはこんな話を聞いても
やっぱり陽が好きな気持ちは変わらない。」


キミが急に立ち上がる。


「ごめんなさい。
今日はちゃんとケリをつけるために来たの。
ごめんなさい。」


周りを気遣って、キミは静かに言う。


「ちょっと外に出よう」

そう言ってキミの手を自然にとる。

端からみたら普通のカップルだ。

店を出るまでずっと陽の手を離さず、
しっかり握っていた。

またいつキミが消えるか分からない。