目覚ましを8時にかけたのに、
自然と目が覚めたら、まだ6時だった。
寝ているのも我慢出来ないくらい
オレは布団を跳ねのける。

パソコンの電源を入れて
作曲の準備を始める。

普段演奏しているのとは別のバンドの
メンバーとの作曲を任されていた。

陽に会えるだけで今日はいいメロディー
が浮かんできそうだ。

作曲活動に勤しんでいたら
あっという間に家を出る時間になった。

慌てて出かける用意をする。
玄関で靴紐を結んでいたら
母親がリビングから出てきた。

「亮さんによろしくね」

はいはいと言って家を出る。

今日は晴天。
秋の空は高い。

亮さんと待ち合わせて、
マンションを見に行く。
家からも二駅だ。

「隼人久しぶりだな。
元気してたか?」

父親と同じ笑顔を向けられて
ちょっと照れ臭い。

マンションは駅から徒歩5分
の所にあった。

音大が近いから大体はそこの学生か
そこの卒業生がそのままいるらしい。

一人には十分なワンルームとキッチン、
バスがついて、破格の家賃を言われた。
家賃をとるのは気が引けるけど、
兄貴がさ昨日電話してきて甘やかすなっ
て言われたから。

親戚待遇ってことでと叔父は笑った。

ありがとうございますと
オレは深々と頭を下げた。

亮さんと軽く昼ご飯を食べて駅で別れる。

ぜひいい創作してくれよ、
と別れ際に言われた。

今なら何でもできる気がする。


引越しは二週間後だ―――