世の中狭いよねーとのんきに
言いながら、姉はテレビのチャンネル
を変えている。


「陽!!」

咄嗟にオレは叫んでしまった。


「何、そんな大きな声出さないでよ、
びっくりするじゃん。」


「陽、、桐島陽って知ってる?」


「え?陽ちゃんとも知り合い?」

リモコンを持ったまま姉がこちらを見る。

「うん。ちょっと前に例の集まりに来て
一緒に飲んだんだ」

「そうなんだ。
陽ちゃんは同じ秘書課で私のすぐ下の
後輩だったよ。
新卒で彼女が入ってきた時に、
私が指導したんだ。いい子だったし、
仲もよかったんだけど、夏ぐらいに辞め
ちゃった。」

なんてことだ。


陽と接点を持つ人物がこんな近くに
いるなんて。